犬の目頭の内側に黒~茶色に伸びる涙やけ。小型犬の子で多い涙やけですが、かわいいわんちゃんの顔に、汚れのように付いてしまうことも多いですよね。

「涙やけはなぜ起きて、どうしたらいいのでしょうか?」

そんな疑問に今回答えてみようと思います。

治療法のメリット・デメリットに関しても詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください!

涙やけの正体とその原因

涙やけは「涙の成分が変化し、毛に着色したもの」です。

涙にはポリフェノールが含まれており、このポリフェノールが目の周りにいる細菌や酵母菌、あるいは日光などによって変化し、毛に着色をして涙やけの原因になると言われています。

ポリフェノールはワインなどに含まれる健康にいい成分なんですが、以外にも涙やけの原因になるんです。

ただし、犬はワインを飲みませんし、ポリフェノールを取りすぎが涙やけの原因というわけではありませんよ。

問題は、涙が目の外にあふれてしまうことにあります。

涙が外にあふれる原因

涙の量が多い

涙が「鼻涙管」(びるいかん)から流れない

どちらかですが、小型犬の子で圧倒的に多いのは後者の方です。

また、あふれた涙に食餌中の化学物質などの老廃物が多く含まれると、涙やけになりやすいとも言われています。

涙の量が多くなる原因

涙があふれてしまう一つの理由は「涙の量が多い」ということです。涙の量が増えてしまう原因となるのは

アレルギーなど目の炎症

異物による目の刺激

逆まつげによる目の刺激

…などがあります。涙が多いと、涙が鼻に流れる通路がしっかりしていても、流れ切らない涙が目の外にあふれてしまうことになります。

目の構造上、目頭(目の内側)の部分から鼻の横を通って涙は流れていきますので、涙やけはその部分によく見られます。

涙の流れが悪くなる鼻涙管の閉塞

涙があふれてしまうもう一つの原因は「涙の流れが悪くなってしまう」ことで、鼻涙管の異常がこれに当たります。

目と鼻の間には涙が通り抜ける「鼻涙管」と言われる管が存在します。目で作られた涙は、鼻涙管を通して鼻の方へ抜けていきます。

ヒトでも泣くと鼻水が増えますが、それは鼻で作られた鼻水ではなく、涙が鼻涙管を通って出てきた水分なんです。涙は、泣いていなくても目の保護のために、健康な人では1日1㏄くらいの涙が常に作られていると言われています。

犬の涙の量に関する情報は見つかりませんが、常に産生はしています。体重を考えると小型犬でも0.1mlくらいは毎日作られていると考えられます。

涙が鼻に抜ける鼻涙管は非常に細い管であり、特に小型犬であれば直径1㎜もありません。そのため、鼻涙管の狭窄や炎症などによる閉塞は小型犬では簡単に起きてしまいます。

鼻涙管の閉塞によって、鼻涙管から鼻に抜けることができない余分な涙は、目の外に流れ落ちます。実際に動物病院で診察をしていると、涙やけのひどい子の8~9割には鼻涙管の通過異常があります。

鼻涙管の閉塞は、フルオレセインという目の中に入れても大丈夫な蛍光色素で検査することができますので、もし気になる方は一度見ておいてもらってもいいでしょう。

もし異常があった場合は、後程紹介する「鼻涙管洗浄」という方法で鼻涙管の通りを良くすることができます。

涙やけがあるとなぜよくない?

涙やけが良くない理由は以下の通りです。

眼の内側が常に濡れている状態になり、皮膚の細菌感染を起こしやすい

眼の内側の毛が固まって蒸れてしまうため、皮膚炎を起こす

皮膚の感染や炎症が目へ波及する

アレルギーや逆まつげなどの根本的な問題がある

単に見た目の問題ではなく、健康面でも涙やけはよくないんですね。

涙やけの治療の概要

涙やけの治療は原因によって変わってきますが、大きく分けると…

鼻涙管の通りを良くして、鼻涙管の閉塞を予防する

涙の産生量を正常まで減らす

着色しないようにする

上記3つの方法によって、涙やけができないようにします。

以下で涙やけの具体的な治療方法と、そのメリット・デメリットについてご紹介します。

涙やけの外科的治療:鼻涙管の洗浄

鼻涙管の通過異常がある場合には、「鼻涙管の洗浄処置」が非常に有効です。

犬を含めた動物には、上下の瞼の内側に「涙点」と言われる鼻涙管の開口部が、左右の目に上下1つずつ合計4つあります。涙点は涙の排泄口であり、涙点から鼻涙管を伝って涙は鼻に流れます。

この涙点から細い管を通し、生理食塩水などで詰まりを洗浄するのが「鼻涙管洗浄」です。

小型犬の涙点の大きさは1㎜以下であることも多く、その小さい穴に管を通す必要があるため、通常は犬が動いても危なくないよう鎮静剤を使って処置を行う必要があります。

鼻涙管洗浄のメリット

詰まりを物理的に取れるので、効果は非常に高い

鼻涙管洗浄のデメリット

鎮静や麻酔が必要

先天的な鼻涙管の閉塞は治療対象にならない

一度詰まりをとっても再閉塞するリスクが高い

涙やけの内科的治療について

抗菌・抗炎症の点眼薬

抗菌作用によって細菌の繁殖を防いだり、抗炎症作用によって涙の産生量を減らしたり、詰まりにくくさせます。

点眼薬のメリット

薬であるため、効果はある程度しっかりと期待できる

点眼薬のデメリット

体質改善にはならないため、根本的な解決にならない。

長期使用により、耐性ができる可能性がある

サプリメント

サプリメントは以下のような目的で使います。

  • 涙の成分の余分なたんぱく質を減らし。着色にしにくくする
  • 抗菌作用により、涙の付いた毛のまわりに繁殖する細菌を繁殖させない
サプリメントのメリット

体に害がない

体質の改善から根本的な解決になる可能性

サプリメントのデメリット

効果が出るかどうかはしばらく使ってみないとわからない

即効性はないので、効果が出るまで時間がかかる

サプリメントは薬に比べて基準が緩いため、製品によって質や効果が異なる

食餌

涙やけを減らすためには以下のようなフードを選びます。

消化のいいフードやアレルギーを起こしにくいフード
涙の質を改善し、鼻涙管が詰まりにくくしたり、着色しにくくするとともに、涙の量を減らす効果もある
添加物の少ないオーガニックフード
涙の中に排泄される化学物質を増やす可能性のある食品添加物の摂取を減らし、涙やけが起こりにくくする
食餌のメリット

根本的な体質改善や健康的な食生活につながる可能性

目以外の部分のアレルギーにも効果がある可能性

食餌のデメリット

フードの変更による消化不良やアレルギー、好みの問題が起こる可能性

効果が出て来るまで時間がかかる

涙やけクリーナー

涙やけクリーナーは、その種類によって以下のような目的を持っています。

  • 涙成分をきれいにふき取り、涙がこびりついた毛をきれいにする
  • 抗菌作用により、細菌が繁殖するのを防ぐ
  • 紫外線や化学反応によって変色物質へ変化するのを防ぐ
涙やけクリーナーのメリット

手軽に使える

即効性は一番高い

目の周りを清潔に保てる

涙やけクリーナーのデメリット

クリーナーだけでは涙の量や質は変化しないため、毎日定期的なケアが必要になる

根本的な解決にならないため続けないとすぐに元に戻る

涙やけの一般的な治療の流れ

涙やけのある犬の治療は一般的には以下のような流れになることが多いです。

  1. フルオレセイン試験で鼻涙管閉塞の有無の確認
  2. 鼻涙管閉塞があれば、鼻涙管洗浄
  3. しばらくの間、抗菌あるいは抗炎症の点眼薬
  4. 維持療法としてサプリメントやフード療法

鼻涙管の閉塞がない場合や、あってもそれほどひどくない場合は「2」を飛ばして「3」から「4」となることが多いです。

涙やけを早くとりたい場合や、涙が多くてこびりついてしまう場合は、涙やけクリーナーで目頭の部分をきれいにしてあげる必要もあります。また、もし逆まつげがある場合は逆まつげを抜く処置が必要になります。

涙やけの治療にはさまざまな方法がありますが、通常、根本的な解決と継続的な効果のためには点眼薬、サプリメント、フードなどによる継続的な治療が必要になることが多いです。

どの治療が最もいいのかは、涙やけの原因や体質によっても変わってきます。鼻涙管洗浄の必要性の有無も含めて、一度動物病院で相談してもらうことをおすすめします。